葛飾北斎 沼津・千貫樋      
   
  「五十三次北斎道中画譜」の中で、北斎は沼津の入り口として千貫樋を描いている。
木製の樋が谷を越えて水を対岸に導いています。ここは東海道を三島宿のはずれ、伊豆の国から駿河の国に入る場所。千貫樋の下には境川(とても小さな川です)が流れています。このような樋は珍しいのでしょう、旅人が大勢興味深そうに眺めています。今着いたばかりで驚いている人、出かけようとしていても立ち去り難い様子などがよくわかります。
遠くには雪を被った富士が朝日に輝いて美しい。
戦国時代の沼津周辺は北条、武田、今川三国による攻めぎ合いの地でした。千貫樋は、三国間で和睦が成立した時に北条氏康から今川氏真に贈られたとされています。伊豆の水を駿河に送る樋を作ったのです。