東海道名所図会 沼津・足柄山不二雪晴
                 

  私が最初に入手した浮世絵です。妻が欲しがったので,無理をして購入したのです。この絵のあまりの素晴らしさに、その後広重にハマりました。

沼津に雪が降るのは珍しい事です。広重は気候温暖な蒲原でも有名な雪景色を描いています。
遠景に雪に埋もれた愛鷹山と富士山が描かれていますので、手前に見える橋は木瀬川橋でしょうか。これより沼津に入ります。一面雪景色の中を、供を従えた旅人が静かに橋を渡ってゆきます。中央に大木を配して、くの字型に流れる青い木瀬川。遠近法で描かれた素晴らしい一枚です。
川の両側に民家が見えますが、どの家もみなハコネ竹で作った沼津垣で囲われています。沼津は駿河湾からの西風が強く、吹きつける砂を避けるために発達したようです。
木瀬川周辺には立て場があり、中世の時代から栄えていたそうです。源平・富士川の合戦の折、義経が頼朝に会ったのも木瀬川のほとりです。近くには、二人が座ったとされる「対面石」が今も残っています。
東海道は箱根越えをする以前、木瀬川の立て場から北上して足柄越えをしていたそうです。