周麿画 御上洛東海道 田子浦蛇松                  

  沼津の千本松原は今でも有名な松原ですが、江戸時代には大蛇のような形をした松の木があったそうです。狩野川の河口付近には蛇松公園があり、そこに蛇松が生えていいたという伝承もあります。明治・大正の頃、ここで物資の陸揚げをして沼津駅まで運搬する貨車が走っていたそうですが、線路跡が今では蛇松緑道として蛇松公園から沼津駅までアーチ状に残っています。
「田子の浦」と言うと「田子の浦うち出でてみればま白にぞ富士の高嶺に雪は降りける」で有名ですが、その範囲は由井から沼津御用邸公園あたりまでを指していたようです。副題に千本松原とあり、そのことを示しています。
周麿の絵はかなり誇張されているのでしょうが、ちょっと滑稽で面白いです。第十四代将軍家茂が上洛した時の様子を描いたシリーズで分担しています。